無電解ニッケルめっきには、どの様な種類がありますか?
無電解ニッケルめっきは、還元剤を用いた化学反応によりニッケルを素材表面に析出させるめっき技術です。「カニゼンめっき」と呼ばれることもあります。
導通性のない素材(樹脂、セラミックス、ガラスなど)にも成膜できるため、それらの下地めっきとして使用されることもあります。
めっき液中の還元剤の種類やめっきの処理条件によって、共析する物質の種類と含有率が異なり、以下の様に分類されます。
無電解ニッケル-リンめっき
無電解ニッケル-リンめっきは、リンの含有率により低リンタイプ、中リンタイプ、高リンタイプに分類されます。
低リンタイプ
リン含有率が1-4%の無電解ニッケルめっき。硬度が高く(700Hv)、耐摩耗性に優れますが耐食性に劣ります。
中リンタイプ
リン含有率が5-10%で、最も一般的に使用されている無電解ニッケルめっき。耐食性や耐摩耗性、はんだ濡れ性など他の無電解ニッケルめっきと比べ、平均的な値を示します。
高リンタイプ
リン含有率が11-13%の無電解ニッケルめっき。耐食性に優れますがはんだ付け性は良くありません。
無電解ニッケル-ホウ素めっき
無電解ニッケル-ホウ素めっき(無電解ニッケル-ボロンめっき)は、ホウ素含有率が0.2-1.0%の無電解ニッケルめっきです。はんだ付け性や硬度に優れます。
無電解ニッケルめっき 特性一覧表
PTFE複合ニッケルめっき
ニッケルめっき皮膜中にPTFE(テフロン)粒子を共析させることで、PTFEの特性である潤滑性や撥水性を付与することができます。
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電気ニッケルめっきとの違い
均一析出性に優れる
複雑形状のサンプルでも、めっきが均一に析出するため、寸法精度が要求される製品への適用に適しています。
耐食性に優れる
リン含有率が多いものは非晶質構造を取るため、耐食性に優れています。
歴史
1944年にブレンナーとリッデルが無電解ニッケルめっき現象を発見、1946年に研究結果を発表しました。これが無電解ニッケルめっきの始まりとされています。
その後、輸送会社のGATX(General Transportation Company)のG.Gutzeitによって工業化が行われ、KANIGENプロセス(Catalytic Nickel Generationの意味)としてライセンス販売が行われました。
弊社EBINAXでは、様々なニッケルめっきの開発・処理を行っています。ご興味がありましたらお気軽に弊社までご連絡ください。
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