MIDとは何ですか?
MID(Molded Interconnect Device, 成形回路部品)とは、配線や電極が形成された樹脂成形品のことをいいます。
ドイツMID協会である3-D e.V.が、射出成形品以外の立体配線加工も内包した「Mechatronic Integrated Device」として定義の見直しをしております。
サンプル提供:大英エレクトロニクス株式会社様(LDS技術で作製)
特長
基板レス・ハーネスレス
従来のPCB(Printed circuit board, プリント基板)やFPC(Flexible Printed Circuits, フレキシブルプリント基板)、ワイヤーハーネスとは異なり、樹脂筐体にダイレクトに3D立体配線を形成できます。
電子機能と筐体を一体化
プリント基板やワイヤーハーネスの持つ配線機能・実装機能を筐体に担わせることが可能です。
薄型化・小型化・軽量化
基板やハーネスに頼らない配線形成が可能であるため、部品点数削減による薄型化・小型化・軽量化に貢献します。
デザイン性の拡張
基板形状やハーネス形状にとらわれないデザイン性・意匠性の高い製品設計が可能です。
自動車や家電などにおいて、曲面デザインの製品開発もできるようになります。
用途
スマートフォン用の内蔵アンテナやスマートフォン用近接センサ、ウェアラブル機器、カメラモジュール用配線、自動車用圧力センサ、ミリ波センサ、LEDバックランプ、ステアリングスイッチ、小型医療部品などとしての使用が期待されています。
MID工法
MID工法は大きく分けて1回成形法(One-Shot法)と2回成形法(Two-Shot法)に分類されます。
1回成形法
1回成形法とは、1つの金型で射出成形した樹脂を用いるMID工法です。レーザー加工と選択めっきによって回路形成を行います。
複雑な金型が不要である点、配線の修正がCADデータの編集のみで対応できる点がメリットとして挙げられます。
LPKF Laser & Electronics株式会社様が開発した「LDS(Laser Direct Structuring, レーザー直接構造化)」などがあります。
2回成形法
2回成形法とは、2つの金型で異なる素材を成形した樹脂を用いるMID工法です。マスキングと選択めっきによって回路形成を行います。
めっきが成膜できる樹脂とめっきが成膜できない樹脂を用いる「2色成形法」などがあります。
歴史
1970年代
IPC(IPC Association Connecting Electronics Industries)によるMCB(Molded Circuit Board)の提唱
1983年
IPC(IPC Association Connecting Electronics Industries)による3D-MIDの提唱
1993年
MIDIA(Molded Interconnect Device International Association)の設立
1994年
3D-MID e.V. Research Associationの設立
1996年
日本MID研究会の設立
1999年
MIDIA主催の国際シンポジウム開催(シカゴ)
2002年
日本MID研究会が日本MID協会(JMID)へ移行
2004年
MIDIAを解散、3D-MID e.V. Research Associationに参加
2012年
日本MID協会主催の国際シンポジウム開催(東大生研)
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