最先端R&Dで業界をリードする次世代表面処理のパイオニア

「めっき」とは何ですか?

めっきとは、金属や非金属などの固体表面に金属を成膜させる技術の総称のことです。

めっき

めっき、メッキ、鍍金・・・

「めっき」という言葉は「メッキ」と書かれることがあります。

しかし、外来語ではなく日本語ですので、カタカナの「メッキ」ではなく平仮名の「めっき」で書くのが正しいとされています。

JISや表面技術協会では平仮名で書く様に統一されています。

めっきの語源

めっきは元々、塗金(ときん)と呼ばれていました。

その後、アマルガム法というめっき法で金が水銀に溶けて見えなくなることから滅金(めっきん)と呼ばれるようになり、さらに、鍍金(めっき)へと呼び方が変わりました。

現在では、鍍の字が常用漢字でないことから「めっき」と表記される様になりました。

3つの目的

めっきは耐食性・装飾性・機能性の3つの目的で用いられます。

防食めっき、装飾めっき、機能めっき

耐食性

耐食性を付与するめっきを「防食めっき防錆めっき)」といいます。材料をサビから保護するために利用されます。

建築資材や機械部品などに対して活用されます。

装飾性

装飾性を付与するめっきを「装飾めっき」といいます。見た目を美しくするために利用されます。自動車のエンブレムやデジタル機器などの外装部品に対して活用されます。

機能性

機能性を付与するめっきを「機能めっき」といいます。電気的特性、機械的特性、物理的特性、化学的特性、光学特性、熱的特性を付与するために利用されます。電子部品などに対して活用されます。

パソコンも「めっき」がなければ動かない

パソコンを始めとした電子機器も「めっき」がなければ動かすことができません。

基板に使用されるめっき技術

基板一つ見ても、配線形成のための銅めっき、はんだ付け性のニッケルめっき、接点のための金めっきなど様々なめっき技術が見受けられます。

約3500年の歴史

めっきは、紀元前1500年メソポタミア文明の時代から行われていたといわれ、約3500年の歴史があります。

メソポタミア北部のアッシリアでは、耐食性や装飾性を向上させるために、鉄器や装飾品にスズめっきが行われていました。スズは沸点が低いため、溶かしたスズを塗布することで、めっきができます。

日本へ めっき伝来

日本へは中東からシルクロードを通り、中国などを経由してめっき技術が伝わりました。仏教の伝来と共にめっき技術が伝わったといわれています。

最大規模のものとしては、奈良時代に建てられた東大寺の大仏があります。

東大寺の大仏

東大寺の大仏

大仏は、水銀アマルガム法でめっきを行っています。

水銀に金粉を加えて合金(アマルガム)にしたものを表面に塗り、松明の炎で加熱して水銀だけ蒸発させて、金を固着させる方法です。

東大寺要録という文献には金が146kg、水銀が820kgも使用されたことが記載されています。

電池の発明により電気めっきが可能に

長く置換めっきで行われてきためっき技術ですが、1800年にイタリアのボルタがボルタ電池を発明したことで電気めっきが可能になりました。

1833年には、エルキントンが電気めっきによるシアン化金めっきを開発、1838年には、ヤコブが電気めっきによる硫酸銅めっきを開発しました。

薩摩藩で我国初の電気めっき

江戸時代末期にはオランダから電気めっきが伝来し、1855年に薩摩藩の島津斉彬(しまづ なりあきら)によりダニエル電池を用いた我国初の電気めっきが行われました。甲冑製品に金めっきや銀めっきを行ったとされております。

宮川由多加が我国初のめっき工業化

近代に入り、宮川由多加(みやかわ ゆたか)が1892年にニッケルめっきの工業化に成功し、日本の電気めっき工業の端緒を開きました。

歴史年表

BC1500年

メソポタミヤ北部のアッシリアで装飾品や鉄器にスズめっき

752年

東大寺の大仏にアマルガム法で金めっき

1600年代

金属塩水溶液による置換銅めっき、置換銀めっき

1700年代

塩化金水溶液による置換金めっき

1800年

ボルタがボルタ電池を発明

1833年

エルキントンが電気めっきによるシアン化金めっきを発明

1838年

ヤコブが電気めっきによる(電気鋳造を用いた)硫酸銅めっきを発明

1854年

ブンゼンがクロムめっきを発明

1855年

薩摩藩の島津斉彬が甲冑製品に金、銀めっき(我国初の電気めっき)

1887年

宮川電鍍工場が設立(我国初の本格的めっき工場)

1892年

宮川由多加がニッケルめっきを工業化(我国初のめっき工業化)

1899年

東京鍍金職同業組合が誕生(我国初のめっき同業組合)

1906年

八幡製鉄所で我国初の溶融亜鉛めっき

1915年

ワットが硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ホウ酸からなる電気ニッケルめっき浴(ワット浴)を発表

1920年

サージェントがクロム酸や硫酸クロムからなるクロムめっき浴(サージェント浴)を発表

1924年

大藪幸太郎がクロムめっきを企業化

1944年

ブレンナーとリッデルが無電解ニッケル-リンめっき現象を発見

1950年

金属表面技術協会(表面技術協会の前身)が設立(我国唯一のめっきに関する学協会)

1955年

日本で無電解ニッケルめっきが工業化(我国初の無電解めっき工業化)