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無電解ニッケルメッキの色や、判別方法、変色についてヱビナ電化工業が解説します

技術コラム#13

無電解ニッケルメッキの色についてご紹介します

無電解ニッケルメッキの色はどのような色か、ご存知でしょうか。

装飾用として表面に施されるめっきの色は、製品のビジュアルに大きく影響を与えるため、めっきする物によっては色を重要視する場合もあります。

今回は無電解ニッケルメッキの特徴、色や他のめっきとの見分け方や変色などについて、東京都大田区のめっき会社、ヱビナ電化工業が解説します。

加工や製作時の再確認としてご覧ください。

 

無電解ニッケルメッキについて

無電解ニッケルメッキは、ニッケルめっきの一種です。

ニッケルめっきには「電気めっき」「無電解めっき」の2つの方法があり、どちらも幅広い用途で使用されているメジャーなめっき技術といえます。

今回の主題である「無電解ニッケルメッキの色」について解説する前に、無電解ニッケルメッキの特徴(メリット)や、電気めっきとの違いなどをご紹介します。

※無電解ニッケルメッキには種類がありますが、今回はよく使われている無電解ニッケル-リンめっきについてご紹介します。

 

高耐食性に優れためっき方法

無電解ニッケルメッキは、めっき液の還元反応によってニッケル皮膜を生成する技術で、以下の特徴があります。

  • ・複雑な形の物にも、均一な厚みでめっきできる
  • ・高耐食性、硬度、耐摩耗性が良好
  • ・電気を使わないため、非導電性素材にもめっきが可能
  • ・ピンホール(孔食)が少ないため、腐食が起こりにくい

 

これらの特徴を活かし、幅広い用途で使われています。

また、非導電性素材にもめっきできるため、プラスチックへの下地めっきとしても利用されている優秀なめっきです。

リンが含まれる量によって、皮膜の性質や付与できる機能も異なるので、用途に合った最適な種類を選択することをおすすめします。

弊社の技術について、こちらのページでもご紹介しています。こちらも是非ご覧ください。

高耐食 無電解ニッケルめっき>>

 

電気ニッケルめっき(電解めっき)との違い

「無電解ニッケルメッキ」と「電気ニッケルめっき」の違いは、ニッケル皮膜の生成方法です。

無電解ニッケルメッキ 色

 

電気めっきは、めっき液の中に電気を流すことでめっきを施す技術で、電気を使ってメッキを施すので、導電性素材でないと使用できません。

また、素材の形が複雑な形状の場合、電流の影響でめっきの膜厚にムラがあり、形状によってはめっきが付かない「無めっき」が発生する場合があります。

これに対して無電解ニッケルメッキは電気を使わないので、非導電性素材へのめっきが可能です。

また、電流分布の影響を受けないことから、複雑な形状にも均一にめっきが析出ができます。

寸法精度を求める場合には無電解ニッケルメッキが適していると言えるでしょう。

また、無電解ニッケルメッキ(Ni-P)にはリンが含まれているため、耐食性など電気ニッケルメッキにはない機能を付与する事ができる点も違いとして挙げられます。

 

無電解ニッケルメッキはどんな色?

無電解ニッケルメッキの色はやや黄褐色のシルバーです。

めっきにはめっき浴種や成膜方法、膜厚などの違いにより、多くの皮膜種が存在し、それぞれ特徴的な色があります。

皮膜の種類によっては色が類似しているため、見た目だけでは判別できないこともあります。

また同じ皮膜種でも、素材によっても色味が異なることがあります。

平滑な素材であれば光沢感があり、凹凸のある表面の場合は光沢のないマットな質感となります。

ここでは、無電解ニッケルメッキの色とよく似ているめっきの色についての判別方法をご紹介します。

鉄材(左)と無電解ニッケルめっき後(右)

 

電気ニッケルメッキとの見分け方について

無電解ニッケルメッキと電気ニッケルメッキは、めっき加工処理の方法は違いますが、処理条件によっては似た色となり、色だけでは見分けることが難しい場合があります。

どちらのめっき処理なのか見分ける必要がある場合は、薬品を使って調べる方法があります。

対象物に硝酸を一滴垂らすと色の変化がみられ、灰色に変色した方が電気ニッケルめっき、黒色に変色した方が無電解ニッケルメッキです。

他にもめっき厚をマイクロメーターや蛍光X線膜厚計で測定する方法があります。

製品が測定可能な場合は、膜厚にムラがある場合は電気ニッケルめっき、ほぼ均等な場合は無電解ニッケルメッキと判断することもできます。

また、皮膜の表面形態もそれぞれ異なるので、SEM(電子顕微鏡)などで観察することで判断することも可能です。

 

クロムめっきとの色の違いについて

ニッケルめっきもクロムめっきも一見して色はシルバーです。

それぞれ単体で見ると、色はどちらもシルバーに感じられるので違いがわかりにくいですが、比較すると違う色であることがわかります。

ニッケルめっきの色はやや黄褐色よりのシルバー色をしていますが、クロムメッキの色は青白さを感じるシルバー色をしています。

同じシルバー色という表現にはなりますが、横に並べて比べると、ハッキリと色の違いがおわかりいただけると思います。

 

無電解ニッケルメッキの変色について

無電解ニッケルメッキは基本的に変色することはありません。

しかし、めっき処理が不十分であったり、過度な使用環境下では色が変わってしまうことがあります。

また、無電解ニッケルメッキはめっき処理をした後、硬度を強化したい場合に熱処理(ベーキング処理)をすることがあります。

この熱処理を高温(300℃~)で行うと、酸化によって色が変わってしまいます。

無電解ニッケルメッキは耐食性や硬度などの機能性の付与を目的とする場合が多いので、更なる機能性の向上を求める場合は、変色のご了承を頂き、高温で熱処理を行う場合もあります。

また、光沢剤が含まれる無電解ニッケルメッキの場合、水中で使用する事で黒っぽく色が変わる場合があります。

これは低リン・中リンタイプの無電解ニッケルに使われている光沢剤に、硫黄系の添加物が含まれていることが原因です。

この硫黄系添加剤は皮膜に共析するので、めっき皮膜に硫黄が含まれており、酸化によって色が変わることがあります。

 

変色を防止する方法とは

用途によって、機能を向上させたいが変色は防ぎたい、というご要望もあるかもしれません。

そういった場合には、以下の方法が変色を防止する方法として挙げられます。

温度を下げて熱処理を行う 窒素雰囲気で熱処理を行う ひとつめの変色防止策として、「300℃以下の低い温度で熱処理を行う」という方法が挙げられます。

ですが、当然300℃の熱処理を行った場合よりも硬度が下がるため、用途によっては適さないケースもあります。

ふたつめは、窒素雰囲気で熱処理を行う方法です。

変色は酸化によって発生するため、熱処理の処理環境を窒素雰囲気に変更することで、酸化を防いで変色を抑えることが可能です。

他にも、硬度の向上が目的であれば、リンをホウ素に変更する方法もあります。

ヱビナ電化工業では、無電解ニッケルメッキの特性を活かしつつも変色を抑えられる、最適な方法をご提案いたします。

お問い合わせ時にご相談ください。

 

無電解ニッケルメッキには黒色もある

無電解ニッケルメッキには黒色のタイプもあることをご存知でしょうか。

黒いニッケルメッキ「黒色無電解ニッケルメッキ」とは、無電解ニッケルメッキの表面を黒化処理(こっかしょり)したものです。

表面が黒色であることで、無電解ニッケルメッキの特徴に加えさらに機能性・装飾性の幅が広がります。

ここでは、黒色無電解ニッケルメッキの特徴や用途についてご説明します。

 

黒色無電解ニッケルメッキの特徴

基本的な性質は無電解ニッケルメッキと大きな差はありません。

ただ、黒色処理の過程で表面にできる小さな穴(ピンホール)が拡大されやすく、無電解ニッケルメッキよりも耐食性はやや劣ります。

ですが、精密機器などに用いる分には十分維持できる強さです。

黒い色をした皮膜の黒色無電解ニッケルメッキは主に、光の反射防止が必要な部品や電子部品への表面処理を目的としています。

弊社では、タフブラックをはじめ、特殊な形状を利用した機能性を付与する黒色めっきを行うことができます。

こちらのページで詳しくご紹介していますので、是非ご覧ください。

 ヱビナ電化工業の黒色めっき技術のご紹介>>

 

用途

黒色無電解ニッケルメッキは、高い機能特性から様々な分野で広く使われています。

他の黒色処理よりも均等にめっき加工できる特徴から、寸法精度が求められる精密機器や医療機器に適しています。

耐久性、耐摩耗性も優れており、電化製品、機械部品、自動車部品にも使われています。

また光の反射防止を目的とした、プロジェクターやカメラなどの映像機器、望遠鏡や顕微鏡などにも使用されています。

他にも黒い色の魅力を生かした高級感ある外観は、工業用だけでなくインテリアなどの装飾品にも使われています。

 

めっきの様々な色合いについて

めっきの色や風合いは、皮膜の種類や仕上げ処理、素材によっても変わります。

めっきに使われる代表的な金属は、金、銀、銅、クロム、ニッケルで、色は、一般的にゴールド系、ホワイト系、ブラック系、レッド系の色がほとんどです。

機能付与だけでなく、アクセサリー、時計、食器やカトラリー、車の外装など、めっきの色によって製品に美観を与えます。

弊社で処理するめっきは機能付与を目的としていますが、光の反射や迷光防止などで黒色皮膜が必要な方は、最適なめっき方法をご提案いたしますのでお問い合わせ時にお申し付けください。

 

めっきに関する課題はヱビナ電化工業にご相談ください

今回のコラムでは、無電解ニッケルメッキの色についてご紹介しました。

単体で見るとシルバー色としか感じられないかもしれませんが、他の種類と比べてみると無電解ニッケルメッキの色合いは黄褐色よりのシルバーです。

また、合金めっきを活用することで黒色にもできます。

他のめっきとの判別方法もご紹介しましたので、是非ご参考ください。

めっきの色をはじめ、表面処理に課題がありましたらお気軽に東京都大田区のめっき会社、ヱビナ電化工業にご相談ください。

表面処理に関するお客様の課題をお伺いし、最適なめっきをご提案いたします。

お問い合わせはこちら >>

 

 

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