セパレーター(燃料電池用)の開発・製造における表面処理は弊社にお任せください
技術コラム #06
セパレーター(燃料電池用)はセルをシールするために使用されます。
その他にも性能や特徴があり、燃料電池の普及を目指して開発・研究が進められています。
ただ現状では、材料の腐食劣化が開発の課題となっています。
今回は、燃料電池用のセパレーターの耐食性を上げる表面処理やめっきについてご紹介します。
セパレーターは燃料電池を構成する部品の一つ
燃料電池は水素を燃料とし、排出物は水のみとクリーンなため、脱炭素化社会に向けた開発技術として注目されています。
燃料電池は電極で電解質を挟み、さらにこれらを「セパレーター」で挟み込んだセルと呼ばれる構造をとっており、これが最小の発電単位となります。
セル単体だと電力が低いため、実際はセルをいくつも積層させたスタック構造の形で利用されており、「発電装置」の役割を果たします。
本記事では、セル同士の境界を形成する燃料電池の「セパレーター」をご紹介します。
弊社・EBINAXでは、このセパレーターに対し表面処理を施すことが可能で、燃料電池の性能向上に貢献できます。
燃料電池用セパレーターの特徴と材料
燃料電池用のセパレーターにはどのような特徴があり、どのような材料が使われているのでしょうか。
ここでは、燃料電池用セパレーターの特徴(役割)や材料を詳しくご紹介します。
セパレーターの役割
燃料電池のセパレーターはセルの境界を形成するだけでなく、両面に形成された溝から燃料となる水素と酸素が導入しそれを電極に供給し、電気的には直列に接続するコネクタのような働きをします。
ガス流路としての役割以外にも、ガスと酸化剤を分離する、反応に使用しなかったガスをセルから排出する、アノード側には水分を供給してカソード側で生成した水を排出する、反応熱を逃がすなど様々な役割があります。
また同じ「セパレーター」といっても、例えば二次電池のものとは役割が異なります。
二次電池は電解液中の両極間にセパレーターがあり、セパレーターには電子を透過させないことが要求されますが、燃料電池だとこの働きは電解質に相当します。
セパレーターの材料
セルの境界となる燃料電池のセパレーターは、導電性、耐食性、ガス不透過性などが求められており、1つのスタックにセルが何層も使用されることから、材料の選定基準にコストも重視されます。
材料としては大きく、金属系と炭素系+樹脂系の開発が進められており、低コストで量産性を上げるために成型品が望ましいといえます。
小型化が可能な金属材料としてはステンレス、アルミニウムなどが主流で、他に膨張黒鉛や、炭素系材料と軽量化が可能な樹脂材を組み合わせた材料などが検討されています。
カーボンセパレーター
炭素系材料は、主に固体高分子形燃料電池(PEFC)で使用されます。
大きく天然の黒鉛を膨張させて成形する手法と、人造の黒鉛に樹脂を混ぜて成形する手法の2つに分けられ、圧縮成形もしくは射出成形で流路を形成します。
金属系と比較した際のメリットとしては軽量で、金属成分の溶出による電解質膜の劣化や形状の制約の懸念が少ないことが挙げられます。
導電性を向上させるため、金めっきを施すケースが一般的です。
金属セパレーター
金属材料として最も期待されているのは、ステンレス鋼です。一般にプレス成形で流路を形成し、薄型化が可能です。
最大の特徴は不動態被膜により耐腐食性に優れることですが、一方で導電性は低いため、両方の性質を活かすことが課題となります。
接触抵抗を高めるために、ステンレスに直接めっき処理する、反応で生じた導電性の析出物を分散させる方法などの検討が進められています。
セパレーターに表面処理をして耐食性を向上
セパレーターに表面処理(めっき)を行うと、耐食性の向上に期待できます。
めっきの種類や特徴についてご紹介します。
ステンレスへの金めっき
固体高分子形燃料電池(PEFC)のセパレーター材料として用いられるステンレスですが、耐食性が高い反面、素材表面に自然と生成する不働態皮膜により導電性が低いことが懸念されます。
そこで、ステンレス表面に直接金めっきを施すことで、燃料電池の出力密度の低下を防ぐことが期待できます。
Ag、Ni-Co合金めっき
固体酸化物形燃料電池(SOFC)において、駆動時に発生した熱などにより、セパレーター材料に含まれる金属成分が拡散し、正極へ蒸着する懸念があります。
燃料電池のセパレーターに各種めっき皮膜を形成することで、拡散防止層として働くことが確認されています。
セパレーターのめっきはEBINAXにご相談を
燃料電池のセパレーターは、単にセルの境界を形成しガスを供給しているだけでなく、水分や反応熱の調整など様々な働きを担っています。
燃料電池用セパレーターとして求められる性能は、導電性や耐食性など材料をそのまま利用する形では実現が難しいため、めっき等の表面処理が必要となってきます。
弊社では、燃料電池の材料に関するめっき経験がございますので、更なる性能向上の開発を検討中の方はぜひご相談ください。
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