ガラスへのめっきで密着性を確保する方法!剥がれやすい原因も解説
ガラスへのめっきの密着性が低い原因
ガラスとめっきとの密着性が悪いのは、主に以下の3つの特性により界面形成が妨げられるためです。
- ・ガラスは化学的に安定した素材である
- ・表面が極めて平滑である
- ・ガラスとめっき皮膜で熱膨張係数の差が大きい
ガラスは、金属や樹脂とは異なる特性を持ち、めっきの密着性が得られにくい「難めっき材料」とも呼ばれる素材です。金属への電気めっきや樹脂への無電解めっきでは比較的安定した密着性を得やすい一方、ガラスの場合は適切な前処理を施さなければめっき皮膜が簡単に剥離してしまいます。
それぞれの特性を詳しく解説するので、ガラスへのめっき加工の依頼先を探している事業者様は参考にしてください。
化学的に非常に安定している
ガラスは、酸やアルカリに対して高い耐性(耐薬品性)を示す材料です。この化学的に安定した特性が、めっきの密着性を下げる要因です。
めっき液中の金属イオンは、母材表面の活性な箇所に吸着・結合します。この反応が連続することで、均一な皮膜が安定して形成されます。
しかし、ガラス表面には活性サイトがほとんど存在しないため、金属イオンが定着しにくい状態です。
結果として、めっき処理を施しても、化学結合なしで物理的に乗っているだけになりやすく、わずかな外力や環境変化によって剥がれが発生する原因となります。
表面が極めて平滑である
めっきが母材に安定して密着するには、アンカー効果が重要です。アンカー効果とは、ガラス表面の微細な凹凸にめっきが入り込むことで機械的な引っかかりが発生し、高い密着力を生み出すメカニズムです。
一方で、ガラスは製造工程上、表面が極めて平滑に仕上がる特性があり、アンカー効果が働きにくくなっています。
表面粗さ(Ra値)で比較すると、一般的な金属の機械加工面(旋盤・フライスなど)が0.8〜6.3μmであるのに対し、鏡面ガラスは0.006〜0.025μm程度です。この平滑性の高さが、アンカー効果を妨げ、めっきの密着性確保を著しく困難にしています。
熱膨張係数の差が大きい
ガラスへのめっきの密着性は、使用環境での温度変化にも大きく影響を受けます。
一般的な板ガラスの線膨張係数は約8.5〜9.0×10-6/℃であるのに対し、めっきに多用される銅の線膨張係数は約16.5×10-6/℃と大きな差があります。そのため、加熱・冷却を繰り返すと、ガラスとめっき皮膜の界面に膨張・収縮の差に起因する応力が蓄積し、剥がれや膨れにつながりがちです。
半導体パッケージや電子部品など、動作中に繰り返し温度変化を受ける用途では、熱膨張係数の差に起因した熱応力の問題が信頼性を損なう深刻なリスクとなります。
ガラスへのめっきで密着性を確保する方法
ガラスへのめっきで密着性が低い原因は、「化学的不活性」「表面平滑性」「熱膨張係数の差」という複合的な要因にあります。これらを克服するためには、前処理と下地処理の適切な組み合わせが欠かせません。
密着性を確保するのに有効なアプローチは、主に以下の3つです。
- ・表面粗化でアンカー効果を作る
- ・表面活性化・触媒付与をおこなう
- ・チタンなどの下地層を形成する
それぞれのアプローチについて、以下で詳しく解説します。
ガラスへのめっきを検討しており、とくに密着性の点に不安を感じている事業者様は、ぜひ参考にしてみてください。
表面粗化でアンカー効果を作る
ガラスのめっき密着性を高める方法の一つが、ガラス表面に意図的に微細な凹凸を形成し、アンカー効果を生み出す表面粗化です。代表的な手法として、エッチングやブラスト処理があります。
エッチングは、化学薬品でガラスを化学的に溶解し、表面にナノ〜マイクロスケールの微細な凹凸を均一に形成させる手法です。エッチング時に物理的な力が加わらないため、応力やクラックが発生しにくくなっています。
ブラスト処理は、砂などの研磨剤をガラス表面に吹き付ける加工法です。研磨剤で表面を削り、めっきの密着性向上に寄与する凹凸を形成させます。
ただし、表面を粗化することで、ガラスの高周波特性や光透過性・光学特性が損なわれる場合もあります。TGV基板や光学用途など、精密な用途では粗化を避けた別手法を検討しましょう。
表面活性化・触媒付与をおこなう
ガラスのような絶縁・不活性な素材に密着性よくめっき皮膜を形成するには、表面に触媒核を定着させる触媒付与処理をおこなうケースが多いです。
一般的な手法としては、塩化スズで表面を還元処理するセンシタイジングと、塩化パラジウムで触媒核を付与するアクチベーティングを順におこなう二浴法が知られています。
この方法では、ガラス表面に付与されたパラジウムなどの触媒金属が核となり、めっき液中の金属イオンの還元・析出反応を促進させることで、皮膜の形成が可能です。
処理が不均一な場合には、皮膜のムラや析出抜け・密着不良が発生するため、薬液濃度・温度・浸漬時間などの工程管理を厳密におこなうことが大切です。
チタンなどの下地層を形成する
ガラスとめっき皮膜との間に密着性の高い下地層をあらかじめ形成すれば、ガラスへのめっきの密着性を高めることが可能です。
チタン(Ti)やクロム(Cr)はガラスとの化学的親和性が高く、スパッタリングや蒸着などのPVD(物理蒸着法)プロセスで成膜することで、ガラスに対して優れた密着性を発揮します。
ガラスへの直接めっきでは得られない高い密着性と導電膜の安定性を、この下地層を介することで実現できます。
TGVなどの半導体パッケージ向けガラスコア基板の製造でも、クロムやチタンなどを用いた下地層の形成が採用されることが多いです。
EBINAXのガラス穴加工+めっき技術
EBINAXでは、ガラスへの貫通穴加工とめっきに一貫して対応しています。
ガラス穴加工では、クラックやカケを生じさせない高精度な加工を実現しており、側壁の面粗度はRa≦0.08μmの高い平滑性を確保しています。超高密度な微細穴にも対応しています。
めっき加工については、難めっき材料であるガラスに対して高い密着性を持つ皮膜形成を実現しており、コンフォーマルめっきと充填めっきの両方に対応しています。無アルカリガラスをはじめとする複数の材種に対応可能です。
ガラス穴加工とめっきの両技術を活用した製品として、TGV(ThroughGlassVia/ガラス貫通電極)基板やガラス配線基板の製造が可能です。
また、弊社では打ち合せから納品までの工程を管理しており、管理コストとリードタイムのカットを実現します。各工程は、お客様のご要望に合わせて柔軟に対応が可能です。
ガラスへのめっきの密着性の課題はEBINAXにご相談ください
ガラスへのめっきは、化学的安定性の高さ、表面の平滑性、金属との熱膨張係数の差という三つの本質的な課題から、適切な前処理と高度な技術なしには十分な密着性を確保することが難しい加工です。
EBINAXは、こうした難めっき材料への対応を強みとしており、ガラスへの貫通穴加工からめっきまでを一貫して手がけています。
「密着性がうまく出ない」「どの工法が自社の用途に合うかわからない」といったお悩みがあれば、まずはお気軽にご相談・お問い合わせください。



