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TGV(ガラス貫通電極)の技術を解説!半導体産業で注目される理由

tgv 半導体 TGVの画像

半導体産業で注目されるTGV(ガラス貫通電極)とは?

TGVとは、半導体産業において注目されるThrough Glass Viaの略称であり、ガラス貫通電極と呼ばれる技術です。

ガラス基板に微細な貫通穴を形成し、その穴を金属で充填することで、基板の表裏を導通させます。半導体チップの小型化や、半導体デバイスにおける通信信号の伝達ロスの抑制などのメリットがあり、半導体が用いられる小型機器での大容量・高速通信に欠かせません。

近年では、AIの普及やスマートフォンの高機能化に伴い、半導体に求められる性能が高まっているため、TGVはこの半導体パッケージ分野で注目されています。

ここでは、TGVがどういった技術か、詳しく見ていきましょう。

TGVはガラスに穴を開けて金属を通す技術

前述のとおり、TGVはガラス基板に穴を開けて金属を通す技術です。主な製造プロセスは以下の3つです。

  1. 1.ガラスへの貫通穴形成
  2. 2.貫通穴内壁への金属層形成
  3. 3.金属充填

まず、ガラス基板に対してレーザーで改質を行い、その後エッチングによって微細な貫通孔を形成します。この方法により、数十μmスケールの高精度な加工が可能です。

次に、洗浄後の基板に下地層を形成し、めっきによって電極や配線を形成することで導電性と密着性を確保します。めっきは内壁に沿って成膜するコンフォーマルめっきや、孔内部を埋める充填めっきなどがあり、用途に応じて使い分けられます。

その後、研磨やダイシングなどの仕上げ加工と検査を経て製品化されるのが一般的です。これにより、ガラスの特性を活かした高周波用途や3D実装への適用が可能となります。

TGVは基板の中を金属が貫通している構造

TGVは、ガラスの中に金属が垂直方向に貫通して存在している構造です。金属は、ガラス基板の表面と裏面を電気的に接続する配線の役割を持ち、半導体における三次元配線構造を形成しています。

従来の半導体パッケージである二次元構造に比べ、TGV基板は同じ面積で表面と裏面を接続できるため、配線密度が高く、小型で高速信号伝達ができる点が特徴です。

そのため、TGVはAIチップや高性能計算用途の半導体パッケージなど、高性能半導体製品への応用において有力な選択肢の一つとされています。

TGVとTSVの違い

TGVとTSVは、どちらも半導体のチップや基板に垂直配線を形成し、三次元配線構造を実現する技術です。しかし、両者では対象とする基板材料や特性が異なります。

TGVは、ガラス基板に貫通穴を作る技術です。ガラスは絶縁体であるため、通信信号の伝達ロスが少なく、高い信号伝達特性と高密度配線が得られる点が特徴です。5Gや光通信などの高周波通信を扱う半導体パッケージの用途で用いられています。

一方、TSVが対象とするのはシリコンウエハです。シリコンは完全な絶縁体ではないため、寄生容量や誘電損失の影響を受けやすく、高周波領域では信号伝達特性に制約が生じる場合があります。

主に半導体チップ内部の三次元積層を目的に使用されることが多く、半導体メモリチップやイメージセンサーなどの半導体製品が主な用途です。

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TGV(ガラス貫通電極)が半導体パッケージにもたらすメリット

TGVが半導体パッケージにもたらす主なメリットは、以下のとおりです。

  • 高速・高周波信号に強い
  • 高密度実装に対応しやすい
  • 寸法安定性と平坦性に優れる

TGVは、高速・高周波信号に強く、データ転送速度・容量の向上につながります。配線の高密度実装も可能であり、小型で高性能な半導体パッケージの実現も可能です。寸法安定性や平坦性にも優れていることから、高性能な半導体を安定して量産しやすいこともメリットといえるでしょう。

以下では、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

高速・高周波信号に強い

半導体パッケージにおけるTGVのメリットの一つが、高速・高周波信号に強い点です。

半導体パッケージの通信品質の向上には、高周波の信号を使用することが欠かせません。しかし、周波数の高い信号ほどエネルギーが損失しやすく、遠距離の伝送には信号劣化が起こりやすくなります。信号が劣化すると、通信速度を低下させたり、通信を途切れさせたりするので、通信動作が不安定になりがちです。

一方、ガラスは絶縁体であるため、電気的な損失が小さく、高周波帯域での信号劣化を抑えることが可能です。5GやAIチップ間の通信などでも、高周波信号が遠くまで減衰しにくく、高速通信を実現できます。

高密度実装に対応しやすい

高密度実装に対応しやすい点も、半導体パッケージにTGVを適用するメリットの一つです。

TGVは、ガラス基板に微細な貫通穴を高い精度で大量に作製できる技術です。狭い範囲に貫通穴を効率良く配置できるため、電極の高密度化が可能であり、I/O(入出力端子)数を増加させられます。I/O数の増加により、複数の半導体チップを一つの基板に集積させるチップレット実装にも対応可能です。

チップレット実装により、配線長の短縮も可能です。配線が短いと、信号の伝わる距離が小さくなり、通信の遅れや電力ロスが少なくなります。結果として、小型で高性能な半導体パッケージが実現でき、スマートフォンなどの電子機器の高性能化にもつながります。

寸法安定性と平坦性に優れる

ガラス基板は熱や湿度の変化で変形しにくく、表面が平らであるため、TGVは寸法安定性や平坦性に優れています。

温度変化で基板が反ったり膨張したりすると、半導体パッケージの組み立て工程において、配線実装時の位置ズレが起きやすく、不良品が増えがちです。ガラス基板であれば、熱膨張や反りが生じにくく、配線精度が保たれやすくなります。

また、ガラス基板は表面が平滑で、金属膜や配線を均一に形成しやすい点も特徴です。微細配線を高密度に積層しやすく、半導体パッケージの量産時の品質安定や不良低減にもつながります。

TGVを活用した半導体パッケージの主要用途

TGVは、AI処理の高度化やデータ通信の大容量化などの要求に応える有力な選択肢の一つとして、さまざまな用途分野で注目を集めています。

AI半導体やHPC向けパッケージでは、チップ間の高速信号伝送と高密度配線が欠かせません。ガラス基板は伝送損失を抑えやすく、TGVによる高密度垂直配線を組み合わせることで、高I/O密度化が可能になります。

高周波モジュールの分野では、5G通信や車載ミリ波レーダー向けにGHz帯〜ミリ波帯の信号を低損失で伝送する必要があります。ガラスの低誘電損失特性に加え、TGVは穴径や基板の厚みを適切に設計することで寄生成分を抑制しやすく、高周波特性への影響を小さくすることが可能です。

さらに、チップレット構成のガラスインターポーザーにおいても、ファインピッチのビア形成と大面積化を両立できるTGVは、複数チップの高密度実装に適した技術として位置づけられています。

tgv 半導体 EBINAXの画像

TGVを活用した半導体パッケージのご相談はEBINAXへ

TGVの活用を検討するうえでは、用途に応じた仕様を検討することが大切です。技術的な要件が複雑なだけに、加工の実績と一貫した製造体制を持つ依頼先選びが欠かせません。

EBINAXは、ガラスへの微細貫通穴加工からめっきによる電極形成まで、一貫して社内で対応しています。また、研磨・ダイシングについてもご相談いただけます。(※研磨・ダイシングは協力会社にて対応になります)

加工には高精度なクラックフリー加工を可能にするLPKFのLIDE装置を採用しており、穴径Φ20μm〜、アスペクト比10以下、側壁粗さRa≦0.08μmという仕様での対応が可能です。対応ガラスも、Eagle XG・TEMPAX・無アルカリガラス・ホウケイ酸ガラス・石英など多岐にわたります。

仕様が固まっていない段階や、漠然とした課題感からのご相談も受け付けておりますので、以下フォームよりお気軽にお問い合わせください。

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