燃料電池スタックとは?FCVの発電の要になる次世代の技術やシステムを紹介!

技術コラム #03

燃料電池スタックは、今注目を集めている燃料電池車・FCVの動力源で、次世代の車の要ともいえます。

水素と酸素で発電し、環境にも優しいといわれている燃料電池スタックは、どのような原理で車を動かしているのか、この記事では分かりやすく解説します。

また、これらの機能めっき加工を得意としている会社弊社・ヱビナ電化工業の技術についてもご紹介します。

 

燃料電池スタックは水素を活用した次世代の技術

燃料電池スタックは、「次世代の技術」として今注目を集めています。

2020年10月に政府が「2050年にカーボンニュートラルへの達成を目指す」と宣言した背景もあり、脱炭素化技術への関心が高まっています。

中でも次世代エネルギーとして期待される水素産業は、グリーン成長戦略の重点産業としても位置付けられており、これまで開発が進められてきた「燃料電池」などは再び注目を集めています。

燃料電池といっても様々な種類・用途が存在しますが、イメージしやすい代表的なものとしては燃料電池車(FCV、Fuel Cell Vehicle)でしょうか。

燃料電池車は、PEFC(固体高分子形燃料電池、Polymer Electrolyte Fuel Cell)で発電し、そのエネルギーが駆動部に伝わり作動します。

この「発電装置」の働きを担っているのが、「燃料電池スタック(FCスタック、Fuel cell stack)」です。

このスタックに使用される電解質膜や電極、セパレーターなどに機能めっきを施すことで、出力密度(体積に対する出力比)が向上し、燃料電池の更なる性能向上(高出力化、小型化など)が期待されます。

弊社では、このような燃料電池の内部材料へのめっき経験がございます。

 

燃料電池スタック(FCスタック)のシステムや原理

燃料電池スタック(FCスタック)のシステムや原理とはどのようなものなのでしょうか。

ここでは、燃料電池スタックの構造と発電原理をご紹介します。

 

燃料電池スタックの構造

燃料電池スタックは、最小の発電単位であり、一般には平板状の「セル」を積層させた構造体のことです。

セルは単独でも発電しますが、発生電圧が低いため積層した「スタック構造」の形で発電装置として利用されます。

燃料電池スタックの構造は燃料電池の種類によって異なりますが、大きくは平板状、円筒状が存在します。

また発電中は発熱するので、スタックを冷却し温度上昇を抑えながら使用する必要があります。

 

燃料電池 スタック

 

水素と酸素の化学反応により発電

燃料電池は、水素と酸素が水に変化する過程で発生した電気を利用しているため、「水の電気分解と逆」の原理ともいえます。

スタックの構成単位となるセルでは、燃料として供給された水素が燃料極で水素イオンと電子に解離し、電子が酸素極へ移動する過程で電気が発生します。

電子を失った水素イオンは、酸素極から生成された酸素イオンと結合して水となります。

このような化学反応から得られた電気を継続的に取り出すことで、「発電装置」として使用できます。

ただし、燃料となる水素は単独では存在しないため、化石燃料を化学反応させるなど、別に生成して供給する必要があります。

 

燃料電池 スタック 発電の仕組み

 

燃料電池車(FCV)が走るメカニズムや技術を紹介

燃料電池車(FCV)に使われている燃料や走るメカニズムや技術、そして燃料電池自動車の性能やメリットについて詳しくご紹介します。

 

燃料電池車の燃料

燃料電池はスタックだけあれば使えるわけではなく、燃料処理・排熱回収装置、発電スタック、インバータ、計測制御装置など他のシステムと組み合わせる必要があります。

どんな用途であっても燃料がないと動作しないため、燃料の供給システムもスタックに次いで重要なシステムとなります。

燃料電池車の燃料は、PEFC(固体高分子形燃料電池)であれば水素に限られますが、改質器があれば石油系の燃料も使うことができます。

水素燃料を車載に搭載する方法も様々ありますが、現状では高圧タンクで貯蔵する方法が最も実用性は高いと言われています。

 

燃料電池車(FCV)のメカニズム

燃料電池車(FCV)には、一般にPEFC(固体高分子形燃料電池)が使用されます。

PEFCは作動温度が低いため、小容量でも高い発電効率を得られることが特徴です。

すべて固体で構成されているため、一般人でも扱いやすく保守・点検が容易という点からも自動車に採用されています。

燃料電池車は車載に貯蔵した水素と大気中の酸素をスタックに取り込むことで発電し、そのエネルギーが駆動用バッテリーとモーターに供給されることで車両を動かします。

モーターで駆動する点は、電気自動車(EV)と同じ仕組みです。

 

 

燃料電池 スタック 燃料電池車の仕組み

 

燃料電池車の性能やメリット

■環境にやさしい

1番の特徴として、走行時は水のみの排出で、CO2などが発生しない点です。

燃料となる水素を発生させる過程でCO2が発生しますが、電気出力量当たりの排出量は少ないといわれています。

高温の燃焼過程もなく、窒素酸化物の発生もほとんどないため、環境負荷が少ないことが魅力です。

 

■発電効率が高い

燃料の水素は、モビリティ面では電気よりエネルギー密度が高いことが分かっています。

そのため、電気自動車(EV)などに使われる全固体電池と比較して、短い充電時間で長時間の駆動が可能になります。

たとえ全固体電池の開発が進んだとしても、燃料電池の効率を超えることは難しいというのが一般的な見方なので、特にバスや大型車の走行に適しているといえます。

また従来の発電方法では、燃料から電気を得る過程に熱や運動エネルギーが介在してエネルギーロスが発生しますが、燃料電池の理想効率は80%以上ともいわれています。

これに各所での損失が生じますが、ガソリン等のエンジンと比べても、出力規模に関わらず高い効率が得られることも注目されています。

 

■多彩な燃料

水素を取り出す燃料として利用可能なものは、ガソリン、ナフサ、天然ガス、LPG、灯油などの化石燃料のほか、合成燃料であるGTLやバイオガスなど多岐にわたります。

自動車用燃料の場合は、純水素以外にメタノールやエタノールなども燃料となります。

工場などで発生するメタンガスを燃料として活用するなど、トータルでの循環型社会へのアプローチも検討されています。

 

■作動音が静か、災害時にも強い

燃料電池は化学反応が徐々に進行することで発電し、可動部分もないので、騒音や振動は大変少ない発電機構といえます。

空気を送り込むためのブロアやコンプレッサー等から、大きめの音が発生することはありますが、従来法に比べると静かな発電が可能です。

また大規模な発電機を必要としないため、水素の供給設備さえあれば各家庭で個別に発電することが可能です。

長時間やパワー走行が必要な用途に適しているため、災害時にも活躍するといえるでしょう。

 

ヱビナ電化は燃料電池スタックへのめっき加工が可能

ヱビナ電化では、燃料電池スタックへのめっき加工を承っております。

燃料電池スタックのセルに使われる電解質、電極、セパレーターなどは、めっき技術により機能を付与することで性能の向上が期待できます。

弊社の燃料電池スタックの対応事例をいくつかご紹介します。

 

電解質への白金(Pt)触媒めっき

一般にPEFC(固体高分子形燃料電池、Polymer Electrolyte Fuel Cell) は、反応触媒としてPtを担持したカーボンを電解質膜に塗布したものが使用されています。

しかし、この手法では表層に出ていないために、発電に寄与しないPtが存在することが確認されています。

弊社では、電解質膜の最表層のみにPt粒子を析出させることが可能なため、高価なPt粒子を効果的に活用し、複数の電解質膜を一括処理することができます。

 

燃料電池 スタック 電解質 めっき

 

カーボン材への白金(Pt)触媒めっき

PEFCにおいて、カーボン電極はガス拡散層および発生した電子の伝導の役割を担っており、Pt触媒が使用されます。

従来法はこの触媒が間接的に接しており、導電性の損失やガス拡散を妨害する可能性があります。

弊社では、このカーボン電極に直接Ptめっきを施すことが可能なため、優れた触媒効果の発揮が期待できます。

 

燃料電池 スタック カーボン材 めっき

 

ステンレス製セパレーターへの金めっき

ステンレス製セパレーターは、カーボン製に比べて出力密度が高く、加工性が高いため低コストで製造できるという利点がありますが、ステンレス表面に不働態皮膜が形成されるため、電気抵抗が大きくなる懸念があります。

ステンレスの表面に直接金めっきを施すことで、PEFC(固体高分子形燃料電池)の出力密度の低下を防ぎます。

「直接金ナノめっき」はこちら>>

燃料電池スタックを動力源とする車は未来に繋がる技術

燃料電池スタックについて、構造や燃料電池車が走るメカニズム、そして弊社のめっき技術についてご紹介しました。

近年はSDGsやカーボンニュートラルへの取り組みが注目されており、燃料電池も環境にやさしい動力源として再度注目を集めています。

燃料電池スタックは燃料電池車の発電装置となり、スタックの性能が向上することで、高効率な発電や小型化が期待されます。

弊社は、燃料電池スタックに使用される電解質膜や電極、セパレータ―へのめっき加工経験がありますので、燃料電池の性能向上をご検討中の方はぜひご相談ください。

弊社保有「めっき技術一覧」はこちら>>

 

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